AIが数学の未解決問題に挑む
最適化アルゴリズムであるADMM(Alternating Direction Method of Multipliers:交互方向乗数法)は、過去20年間にわたり広範な研究と実用的な応用が進められてきました。このアルゴリズムは、特に2ブロック版では理論的な収束性が確立されています。しかし、3ブロック版に直接拡張した場合、既存の反例によって収束しない可能性があることが示されています。これまで、3番目の制約ブロックが単位行列である特定のケースでは、一般的な収束証明も反例も存在せず、未解決のままでした。今回、AIがこの未解決問題に対し「否」の答えを出したのです。
AIによる反例の構築プロセス
私たちは、OpenAIのCodexとGPT-5.6 Sol(GPT-4.0の進化版と推測されます)を活用し、具体的な反例候補を構築しました。この候補は、区分的アフィン還元パスに沿って検証され、正確なチェックにより、このインスタンスにおける3ブロックADMMが66周期の有界な非収束軌道を生成することが判明しました。さらに、Kimi CodeとKimi K3モデルも利用し、Codexの候補や特定の経路誘導なしに、異なるパスで23周期の局所的に引きつけられる証明を生成しました。この比較は、異なるAI活用設定が探索される数学的対象や追求される証明の形を形成することを示唆しています。
収束性の回復とAIの役割
反例が発見された一方で、乗数緩和(multiplier relaxation)によって収束性が回復する可能性についても検討しました。その結果、問題に依存する小さな双対ステップであれば収束を回復できることが分かりました。しかし、クラス全体にわたって一様に機能する普遍的な正の相対ステップは存在しないことも明らかになりました。この研究は、AIが単なる計算ツールに留まらず、複雑な数学的探索と発見をガイドする強力な役割を果たすことを強く示唆しています。AIは、人間だけでは見つけ出すのが困難な、あるいは膨大な時間を要する数学的な「一次情報」を生成する能力を持つと言えます。
業界へのインパクトと私の見方
今回のAIによる発見は、ADMMのような基盤的な最適化アルゴリズムの理論的理解を深める上で非常に重要です。また、AIが純粋数学の研究、特に未解決の難問に対して具体的な貢献をできる可能性を明確に示しました。私の見方では、これはAIが単なる既存データの処理を超え、新たな知識や真実を「生成」するフェーズに入ったことを意味します。AIの活用方法、すなわち「何を問い、どう探索させるか」によって、得られる発見の質や形が大きく変わるという示唆は、今後のAI研究と応用において極めて重要な視点となるでしょう。
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文賢 →
AIが数学の未解決問題を解く時代です。人間が何十年も解けなかった反例を、AIは最速で見つけます。これはAIが一次情報を生成する能力の証明です。我々もAIを使い、誰も知らない一次情報を最速で掴みに行きます。