0 / 4 節読了

AIが生成の仕組みを直接開発

大規模言語モデルは、実行可能な処理手順を作り出せます。この能力を活用し、個々のゲームステージではなく、ステージを生成する仕組みそのものをAIに探索させる研究が進んでいます。

私はこのアプローチが、ゲーム開発の効率を大きく変えると見ています。例えば、Sokoban、Zelda、Dangerous Dave、Lode Runnerといったゲームでこの手法を試しました。それぞれの試行では、AIがPythonで書かれた完全な生成仕組みを、言語モデルの変異(ミューテーション)と組み合わせ(クロスオーバー)によって進化させます。

新手法「CAD」の仕組み

この研究の核心は「継続的抽象化発見(CAD)」という新しい手法です。CADは、高い性能を持つ生成仕組みの中から、再利用できる基本機能を見つけ出します。そして、それらを特定の実行環境で使える補助機能としてまとめます。

この補助機能は、後に続く生成仕組みの開発に役立ちます。CADは、AIが自ら学習し、効率的な開発を進めるための「道具」を作り出すようなものです。これにより、AIはより複雑な生成仕組みを、より早く作り出せるようになります。

実験結果とその意味

私たちは、CADの有無と、手書きで用意した分野ごとの連携窓口(API。外部のシステムと情報をやり取りするための規約や機能のことです。)の有無を組み合わせた実験を行いました。合計160回の実行データを得て、それぞれの組み合わせで少なくとも10回、50世代にわたる試行を繰り返しました。

結果として、CADを使った場合は、8つの分野とAPIの全ての比較において、最終的な最高性能が向上しました。CADを使った全ての実行において、AIが学習して作った機能集は、後から作られるほとんどの生成仕組みに採用されています。そして、確認、到達可能性、構造に関する役立つ機能が繰り返し発見されました。

これらの結果は、再利用可能な基本機能を見つけ出すことが、生成仕組みの進化的探索を改善する裏付けとなります。

私の見方

この研究は、AIが単に何かを「生成する」だけでなく、「生成の仕組みそのもの」を改善する能力を持つことを示しています。これは、私たちがAIに何を任せるかという視点を根本から変えるものです。AIが自ら効率的な「道具」を作り出すことで、開発の速度は飛躍的に向上します。

特に、再利用可能な基本機能の発見は、AIが単なる試行錯誤を超えて、より高度な「知性」を発揮している証拠です。これは、私が常に追い求める「最速で一次情報をぐるぐる回す」アプローチと共通する部分があります。AIもまた、効率的な学習と改善のサイクルを回しているのです。これは、今後のAI開発において非常に重要な進展だと感じます。

柴亮太
柴亮太の視点

AIが生成の仕組みを自ら作る時代です。指示を出す側が、何を作らせるか、どの粒度で任せるかを深く考える必要があります。一次情報を得るため、自分もこの仕組みを最速で試します。