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何が起きたか

楽天と日本HPは、共同で「Rakuten AI for Desktop」の提供を始めました。これは、HPのAI PC上で楽天が開発した日本語大規模言語モデル(LLM。大量のテキストを学習し、人間のような文章を生成するAIの仕組みのことです)を動かすものです。

この仕組みは、インターネット接続なしで使えるオフライン(インターネットに接続されていない状態のことです)環境で機能します。具体的に利用できるのは、文章作成、翻訳、要約の3つの機能です。搭載されるモデル(AIの学習済みデータやその仕組みのことです)は、楽天が持つ最大規模のモデルの約100分の1にあたる70億の学習量(パラメータ。AIの学習量を表す数値のことです)を持つものです。この技術は、AIをクラウド(インターネット経由でサービスを提供する仕組みのことです)に頼らず、PCの内部で処理を完結させることを目指しています。

手元の機器でAIを使う意味

AIをPC内で動かすことには、いくつかの大きな利点があります。まず、最も重要なのは情報セキュリティの向上です。データがPCの外に出ないため、機密性の高い情報や個人情報を扱う業務でも、情報漏洩のリスクを大幅に減らせます。これは、企業や政府機関にとって特に重要な要素です。

次に、インターネット環境に依存しない点が挙げられます。通信環境が不安定な場所や、そもそもインターネット接続ができない環境でもAIを利用できます。これにより、場所を選ばずにAIを活用した作業が可能になります。例えば、出張先や災害時など、インターネットインフラが利用できない状況でも業務を継続できます。手元の機器でAIを動かすことで、利用者の利便性と安全性が大きく向上します。

その仕組みと技術的な挑戦

AI PCでLLMを動かすためには、特別な技術が必要です。今回のHP AI PCには、AI処理を専門に行うための部品であるニューラルプロセッシングユニット(NPU。AIの計算に特化した処理装置のことです)が搭載されています。このNPUが、LLMの複雑な計算を効率的に処理します。これにより、従来のCPU(中央処理装置)だけでは難しかった、PC内でのAI動作が可能になります。

70億パラメータのモデルをPCで動かすことは、技術的な挑戦でもあります。モデルのサイズを小さくしつつ、性能を維持する工夫が求められます。楽天は、自社の技術力でこのバランスを取りました。手元の機器で動かすAIは、クラウドAIとは異なる設計思想が必要です。限られた資源の中で、いかに高い性能を引き出すかが鍵となります。

業界への影響と私の見方

この「Rakuten AI for Desktop」の提供は、AI業界に大きな波紋を投げかけます。これまでは、高性能なAIはデータセンターの強力な計算資源を必要とし、クラウドサービスとして提供されるのが一般的でした。しかし、今回の動きは、PCの処理能力が飛躍的に向上し、手元の機器でも実用的なAIが動く時代が来たことを明確に示しています。

私の見方では、これはAIの利用形態を多様化させる重要な一歩です。AIがより身近になり、多くの人が日常的にAIの恩恵を受けられるようになります。特に、個人情報保護の観点からクラウドAIの利用に躊躇していた企業や組織にとって、手元の機器で動くAIは魅力的な選択肢となるでしょう。これは、AIの普及をさらに加速させる要因となります。

今後の展望

手元の機器で動くAIは、今後さらに進化していくと私は見ています。現在、利用できる機能は文章作成、翻訳、要約の3つですが、将来的にはより多くの機能がPC内で利用できるようになるでしょう。例えば、画像生成や音声認識、より複雑なデータ分析なども、手元の機器で完結するようになるかもしれません。

また、このようなPC内AIとクラウドAIの連携も進むと予想されます。普段はPC内で処理し、より高度な処理が必要な場合にのみクラウドAIを利用するなど、用途に応じた使い分けが一般的になるでしょう。この動きは、AIが私たちの仕事や生活に、より深く、より安全に溶け込んでいく未来を示しています。

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柴亮太
柴亮太の視点

性能で語る時代は終わりました。手元の機器でAIを動かす意味は、一次情報取得の速度と、情報流出リスクの低減に直結します。私はこの動きを最速で追います。