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購入した電子書籍を、読み終えた後も対話の根拠として使う。GoogleのExpert Intelligenceは、そのためのアクセス制御をAIの入口へ組み込む取り組みだ。本をファイルとして取り込めるかだけでなく、誰がその内容を使い、共同作業でどこまで共有できるかに特徴がある。

書籍の購入資格と、AIの情報源を結ぶ

Googleは2026年8月27日、Expert Intelligenceを複数製品にまたがる取り組みとして発表した。最初の提供先はGemini Notebookで、Google Play Booksの対象電子書籍をソースとして加えられる。発表時には主要出版社の10万冊以上が対象とされた。

利用者は本の内容を根拠に質問し、図解、音声による概要、クイズなどへ変換できる。自分のメモなど別の資料と同じノートブックで扱うことも想定されている。Googleが例示するのは、著者の助言を自分の状況と照らし合わせて考える使い方だ。

これは、一般的なウェブ検索から広く回答を集める方法とは違う。選んだ本を情報源に限定し、引用箇所を確かめながら検討する。ただし、情報源が信頼できることと、AIの要約や解釈が必ず正しいことは別である。重要な結論は元の記述へ戻って確認する必要がある。

本を持っていれば、何でも対象になるわけではない

公式ヘルプは、対象を一部の英語電子書籍としている。出版社が機能を有効にしていることや、書籍の言語・形式なども条件になる。日本語の書籍を購入しているからそのまま使えると判断してはいけない。

対象かどうかは、商品詳細のTools表示にGemini Notebookが含まれるか、購入済み書籍の詳細に「Use with Gemini Notebook」が表示されるかなどから確認できる。自分でPlay Booksへアップロードした書籍は、このPlay Booksソースの対象外である。

アカウントの一致も必要だ。購入したアカウントとGemini Notebookで使うアカウントが異なる場合、対象書籍でも一覧に出ないことがある。公式ヘルプは購入・レンタル済み書籍からの導線も案内しているが、個々のタイトルの利用資格まで一律に広げて読まず、実際の表示と権利を確認したい。

共有したノートが、共有ライブラリーになるわけではない

共同作業時の設計も重要である。Googleの発表では、共有先がその本の内容を使うには、自分でも書籍を所有する必要がある。所有しない相手には購入が促される。ノートブックへの参加だけで有料書籍の本文に自由にアクセスできる仕組みではない。

さらに公式ヘルプは、Play Booksの電子書籍から作ったArtifactsを含むノートブックを公開共有できないと説明する。本を根拠にAIが生成した結果であっても、公開範囲が無制限になるわけではない。

企業の研修や読書会では、この条件を先に確認したい。一人が本を買って全員に要約を配布する運用を、そのまま製品の標準機能として期待すると齟齬が生じる。参加者ごとの利用資格、社内資料の機密区分、生成物の配布先を整理してから使う方がよい。

自分の資料と混ぜるときの確認点

書籍と業務メモを組み合わせれば、一般的な知見を自社の状況へ当てはめる仮説を作れる。一方、回答のどこが本に書かれた内容で、どこが自社メモに由来し、どこがAIによる推論かが見えにくくなることもある。

本稿の考察として、まず本だけを使って要点と引用を確認し、その後に必要最小限の社内資料を加える手順が有効だ。根拠のある記述と、状況に合わせた提案を分けて残す。読者が自分の判断で採否を決められる資料にすることが大切になる。

個人の日記や写真を組み合わせる利用例もあるが、それは機密性の高い業務データまで無条件で投入してよいという意味ではない。組織の契約、管理設定、データ利用条件を確認し、顧客や従業員の情報を含む資料の扱いは別に決める必要がある。

提供計画と、使える機能を区別する

Googleは今後、Geminiアプリや検索のAI Modeにも広げ、購読コンテンツや業務向け調査資料などを対象にする方針を示している。ただし、8月の発表と確認したヘルプで案内されるPlay Booksの追加先はGemini Notebookである。計画があることから、すべての製品で同じように利用できると推測しないことが必要だ。

AIの活用範囲は、モデルの能力だけでなく、どの専門知識へのアクセスを正当に持つかによって変わる。書籍と対話する体験は、その権利と根拠を扱う運用と一緒に設計したい。AIによる資料整理や研修設計の会社情報・相談先は、運営会社RO合同会社の公式サイトで確認できる。

出典:Googleの公式発表、Play Booksの対象条件と手順、ソース追加の公式ヘルプ、共有に関する公式ヘルプ、参考報道・イノベトピア。業務運用への提案は編集部の考察である。

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柴亮太
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